たので、おしんを雇うことにきめた。が、おしんも、いままでいるところの始末をつけて出て来なければならないというので、急に住みこむというわけにはゆかなかった。十日や二十日は待つことに話しあいがついた。
ひとまず帰ることになって、おしんが、そのすんなりした粋《いき》なからだを立たせると、磯五は、ちらと、この女をやとったのは失敗ではなかったかという考えが、ひらめいた。それは、何もおしんというもののなかに自分の敵を見たわけではないが、ただ、何となく邪魔になりそうな気がしてきたのだ。
そのうちに、おしんが帰って行って、磯五は、砂のようなものの残っている重いこころのまま、気になるので、お駒の部屋となっている、土蔵の向こう側の小座敷へ行ってみた。
まん中の畳に、お駒ちゃんが袂《たもと》を抱いてうつ伏していた。案のじょう、狂女のようになって、泣きじゃくっているのだ。それが、はいって来たのが磯五と知れると、お駒ちゃんはいっそうからだをもむようにして、おおびらに泣き声をあげはじめた。もうさっきのように怒っているのではないらしかった。ただ悲しんでいるふうだった。
「ほんとに、ほんとに、お前さんという人は
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