にうごかす女たちのにぎやかな笑い声が、朝までつづくこともめずらしくなかった。
 いまも四、五人の若い女が、座敷に仕立てものをひろげて裁ったり縫ったりしているのが、まえを通りかかった磯五に見えた。女たちは、主人を見かけると、いっせいに仕事をよして、手を突いて頭をさげた。磯五は、そのなかに、お針がしらのお市《いち》がいるのを知っていた。
 お市は、町内の鳶《とび》の者の女房で、茶屋女あがりということであったが、それにしては、針が持てるのであった。磯屋のお針頭として、どんな品物を出されても、立派にこなしてゆけるのであった。お市は、ちょいと渋皮のむけた、せいの高い、しじゅうにこにことほほえんでいる女であった。態度《ものごし》にどこかなまめいたところがあって、芸事の師匠といったような女柄であった。
 磯五は、このお市が煙《けむ》たくてしようがなかった。それは、いつかお市が、このお針部屋にひとりでいるとき、磯五が意地のきたないことをしようとして、上手《うわて》に起《た》たれてしまったからばかりではなかった。お駒ちゃんを妹としておもて看板に上げていることを、このお市だけは、からくりの底まで見すかして
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