、三人を鼎《かなえ》の座にすえることになった。二人の男と、ひとりの女と、恋はこの時代から、ときとして三角だったのだ。

      三

 磯屋の奥は、土蔵づくりになっていて、うす暗かった。店と蔵をつなぐ渡り廊下まで来ると、磯五は、立ちどまった。客に応対する番頭や手代の声と、品物をかつぎ出す小僧たちの物音が、さわがしく聞こえてきていた。そこの廊下の下は、中庭になっていて、苔《こけ》の青い石などがあった。年じゅう陽があたらないので、岩清水のようなうそ寒いものが、いつもその狭庭《さにわ》に立ち迷っていた。
 磯五は、何かしらつめたさが背すじを走るような気がして、身ぶるいをした。そのまま、庭下駄をはいて、蔵について裏へまわろうとした。右手にお母屋《もや》の一部が腕のように伸びていて、別棟《べつむね》のように見えていた。そこは、店で売った品を、注文に応じて仕立てて届ける、お針たちの詰めているところであった。
 お針には、近所の娘や、家持ち番頭の女房などが通ってきていた。大家《たいけ》の婚礼衣裳などを引き請けて、いそぎの品がかさなったときは、夜っぴてここの窓に黄色い灯がにじんで、針と口をいっしょ
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