だなんて触れ込みで、人聞きがわるいやね。あたしゃ、お前さんの出よう一つで、いつだって願い下げにするんだから」
 お駒ちゃんは、縄《なわ》のしっぽに火がついたように、めらめらめらとしゃべり立てて行くのだ。
「何だい、何といって頼んだか、まさかお忘れじゃあるまいね。都合のいいときばっかり頭を下げれば、それでいいというものじゃないよ」
 口ではぽんぽんいうが、磯五を見上げるお駒ちゃんの眼は、大きくうるんでいるのだ。相手の顔に、ちょっとでも微笑の影がさし次第、すぐにも笑いかけて、この場をおさめようというところが、見えているのだ。
 磯五は、そういうお駒ちゃんの眼を無視して、ますます威丈高《いたけだか》になっていった。
「第一、おいらあその、おめえの衣裳《いしょう》からして気にくわねえ。それあ、まるで、何のことはない。茶屋女か河原もののこしれえじゃねえか」
「おや、これがかい」
 お駒ちゃんは、あきれたように、じぶんの袖口をつん[#「つん」に傍点]と引っぱって、左右の腕から、胸の前を、見まわし、見おろした。
「そうよ。もっと堅気につくってもらおうじゃないか。これは、れっきとした老舗《しにせ》なん
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