もしねえものを、しこたま買いこみやがって、どうする気だ」
 お駒ちゃんも、負けていなかった。
「そういえば、いま定《さだ》さんが来て、注文したのは、この色じゃあないなんていっていたけれど、へんだねえ。お前さんにしろ、定公にしろ、この店は、唐変木《とうへんぼく》の寄り合いさ。いいかげんいやになっちまうよ」
「てめえの馬鹿にも、あきれたもんだ。それほどの阿呆《あほう》ではないと思って、一度大口の染めの注文をあつかわせてみたおれが、わるかった」
「それごらん。やっぱりお前さんが悪いんじゃないか」
「何てことをいやあがる。いい気なもんだなあ」
「だって、そうじゃないか。お前さんは、江戸むらさきといやしなかったかい」
「そうとも。江戸むらさきと注文したんだが、これが江戸紫なもんか」
「はばかりさま。立派な江戸むらさきですよ」
「ちょっ! 色の見さかい一つつきゃあしねえ」
「ふん、おあいにくさまですね。そんな色の見さかい一つつかないようなものを、何だってこの商売に引っぱりこんだんだろうねえ。あたしは、一度だって、じぶんのほうから来たいなんていったおぼえは、ありゃあしないよ。おまけに、そんな大悪の妹
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