しゃるのは、毒でございますよ」
 龍造寺主計は、そんなことをいうお高をそれとなしに見ていた。お高も、顔を上げて、眼があった。お高は、笑い出した。
「何がそんなに、おかしいのかな」
「あなた様の変わりようでございますよ。ちょっとのあいだに、どこからどこまで、すっかり町人ふうにおなりでございますねえ」
「このほうが、わしの気もちに合うのだ」
「お故里《くに》の方々がごらんなすったら、どんなにかお嘆きなさることでございましょう」
「なあに。もう武士でないわしだから、何をしようと構わぬとあって、結句、よろこぶだろうよ」
「旦那様といい、龍造寺さまといい、どうして結構な御身分をすててすき好んで町人になぞおなりなさるのでございましょうねえ。何ですか、ふかい事情を知らない方は、酔狂のようにお思いになるでございましょうねえ」
「うむ。酔狂といえば、酔狂かもしれぬ。何しろ、気楽だからな」
 しばらく、沈黙が占めた。そのあいだ、龍造寺主計は、めずらしそうに、部屋のあちこちを見まわしていた。感心したように、いった。
「やっぱり女のいる部屋は違うな。どことなく、女らしいところがある」
 お高は、針を運ぶ手を休
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