から預かった額だけは、磯屋五兵衛のほうへ払いこまねばならぬ」
 磯屋五兵衛という名が出たのを聞いて、眠ったように、壁に頭をあずけて眼をつぶっていた龍造寺主計がむくりとしていた。
「磯屋五兵衛か。きやつまた、御当家へも、何か御迷惑をかけておりますかな」
 若松屋惣七は、びっくりした。
「磯五をご存じかな」
「知っているも、おらぬも、拙者は、きやつを成敗せんがために、出府いたしたものでござる」
「ほう。成敗――」
「わけは、ただいま、それなる女衆《おなごしゅう》に話しておきました」
 が、若松屋惣七は、特別に興味をそそられたふうもない。何も、彼の興味をそそるものは、なくなっているに相違ないのだ。
 お高へ、向き直った。しずかに、いった。
「雨が降れば、あとはまた日が照る。これは、世の定めです。いずれ、いいこともあろう。そういえば、きょうは、雨のようだな」
 土を打つ細雨の音が、庭にしていた。澄んだ水のにおいが、つめたい微風にあおられて、流れこんできていた。それは、鼻の奥に痛いような、徹《とお》った感じのするものであった。
 三人は、それを味わうように、しばらく無言に陥った。
 ふと、わがこ
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