って、わしは、掛川へ出かけてみようと思っておる。掛川へつぎこんだおせい様の金さえ、おせい様のほうへ返してしまえば、あの具足屋は、そっくりわたしのものになるわけだから、ひとつあれを育てて、何とか、芽のふくものなら、芽をふかしてみたい気もする」そして、思い出して、きいた。
「おせい様に会ったら、手紙を持たしてよこしたといっておったが、届かなかったか。わしは、まだ見ておらんぞ。どうせ、読まんでもわかっている用向きだが――」
お高は、すっかり気が抜けたようにたち上がって、自室の手文庫に入れておいた、[#「入れておいた、」は底本では「入れておいた。」]おせい様の書状を持って来て、何もかもあきらめたように、若松屋惣七の前へ押しやった。
「旦那様に内密で、勝手に計らいましたようで、まことにすみませんでございますが、できることなら、お耳に入れずに、わたくしの手で何とかいたしたいと存じまして――」
「わかっておる」其室《そこ》に、龍造寺主計がいることを忘れたらしく、声が、感情をのせて、ふるえてきた。
「ありがたかったぞ。が、しょせん、助からぬ命であるのが、この若松屋の店である。いやでも応でも、おせい様
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