ら、いってやりましてございます。おせい様を突ついて若松屋さまからお金を取り立てることをよさなければ、わたくしがおせい様に身分を明かすと申したのでございますが、磯五という人は、こういうことにかけましては鬼のように強いのでございます。何といいましても、平気なのでございます。
 ほんとのことが、すっかりおせい様に知れたところで、おせい様はやはり、こちら様からお金を取って、磯屋へつぎこもうとするに相違ない。それは、わたしにも、どうすることもできないなどと、しゃあしゃあしたことを申しまして――」
「いや、そのとおりなのだ。おせい様自身、わたしにはっきり[#「はっきり」に傍点]そういいました。おせい様は、すっかり、磯五と一心同体になっておる。よくもああ掌《て》のうちに丸めこんだものだと、むしろ感心いたしたよ。
 そこで、今後は、おせい様のことは、いっさい磯五が後見するというのだ。このことも、磯五と話し合ってくれというのだ。そういって突っ放された。磯五となら、まとまるはなしも、まとまらぬにきまっておる。談合の要はない。若松屋も、もうあきらめました」
「あの、おあきらめなすったと、おっしゃいますと?」
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