い顔をした。
「いいえ。旦那様はお眼がおわるいので筆役のようなことをいたしておりますものでございます」
「ほう、眼が悪い。それは御不自由な」
龍造寺主計は、眉《まゆ》をよせた。彼は、心から気の毒に思ったのだ。そういうふうに、すぐ人に同情したり、他人のことを心配したりする男なのだ。
しばらく黙っていた。やがて、いった。
「いずれ戻らるることであろう。待ちましょう」
「はい。御迷惑でございませんければ、どうぞお待ちなすってくださいまし」
「うむ、待とう。が、考えてみると、待って、会ってみたところで、しようがないかもしれないのだ」
「はい。でも、それは、どういうわけでございますか」
「ひとつ、あんたにだけでも、聞いてもらおうか」
「はい。うかがわせていただきますでございます」
「まあ、おはいり。こっちへおはいり」
「いえ、こちらで結構でございます」
「さようか。おれは、旅をしておる者だ」
「はい」
「旅をしておると、さまざまな人間に会う。いやでもあうぞ」
「はい」
「その旅で一度会うたことのある人間を、いま、この江戸で、さがし出したいと思うのだ。むりかな」
「あら、いえ。ちっともごむりな
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