せて、まあまあと手で制して、ぴったりおせい様のそばへ行ってすわった。おせい様は、娘のようにはじらいをふくんだ眼で、だまって磯五をみつめた。磯五が、なめらかな声で、いった。
「すこしおそくなりましたので、おせい様は、怒っていらっしゃる」
「いいえ、おこってなんぞおりませんわ。お駒さまはどうなさいました」
「店へ帰って、よくきいてみました。驚きました。あのことはほんとうです」
「ほんとう? ほんとうといいますと、あの、お民さんのおっしゃったことは、みんなほんとうなのでございますか」
「いいえ、みんなではありません。みんなほんとうのことでは、わたしの妹が、泥棒をしたことになるではありませんか。それではあんまりですよ、おせい様。そんなことをおっしゃると、五兵衛は、この可愛いおせい様を、お恨み申さなければなりませんよ」
「あれ、いやでございますよ、つめったりなすっては。ですから、早く、すっかり聞かせて、安心させてくださいましよ」
「すっかりお話しします。五兵衛は、おせい様には、何でも申し上げるのですから」
「そうですよ。それはよく知っていますよ」
「わたしもはじめて聞いたのですが、おせい様、お駒
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