らも、磯五の手まえをおそれて、いそいで、お民をたしなめにかかった。
「お民さん、何をいうのですね。お安などと、とんでもない間違いをしては、いけませんよ。お民さんがとんでもない人違いのことをいうものですから、お駒さんがあんなに困って真っ赤になっていなさるじゃありませんか」
お民は、お駒から、眼を離さずに、せせら笑った。
「おせい様こそ、ばかな間違いをしているのですよ。きっと何か、食わせものに引っかかっているのですよ。半年ほど[#「半年ほど」はママ]まえのことですが、わたしゃこのお安の顔は、忘れっこありませんよ。どこで見かけても、一眼でわかりますよ。おせい様、まあ、このお駒さんという人を、よく見てやってくださいよ。これは、お安ですよ。わたしに見つかったものだから、あんなにしょげているじゃありませんか。
このお安は、うちの下女だったのですよ。いいえ、下女に来て、二、三日お目見|得《え》をしているうちに、お店のお金やらわたしの着物やらを盗んで消えてしまった泥棒女ですよ。お目見得どろぼうですよ。ねえ、お安、お前は、きれいな顔をして、大それた女ですねえ」
七
狼狽《ろうばい》
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