がっていた。おせい様は、入り口の障子のほうに気をとられていた。お高は、そっとおせい様のうしろへまわって、襖《ふすま》をあけて、つぎの間へすべり込もうとした。小碑《こおんな》のあとについて来た磯五が、部屋へはいってこようとしていた。お高は、つぎの間から、ふすまをしめるときに、磯五をちらと見た。磯五は、てかてか光る顔に笑《え》みをみなぎらして、おせい様に挨拶しようとしていた。
お高は磯五のうしろに、派手な色があるのを見た。それが、磯五の妹という女に相違なかった。その磯五の妹という若い女は障子のかげに隠れるようにして、はいることをためらっていた。が、すぐ、磯五に呼びこまれて、障子の隙《すき》から出て、座敷へはいって来た。しとやかに、おせい様に向かっておじぎをした。磯五が、いった。
「たびたびお話しいたしましたが、今まで、ついかけちがって、おひき合わせもできませんでした。これが磯屋の店の黒幕、妹のお駒《こま》でございます」
そのお駒という女は、なるほど磯五の妹といった格の町家の女ふうに、堅気につくってはいるが、そして、おせい様と初の対面というので、せいぜいしとやかに構えてはいるけれど、お高
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