いたましくて、口まで出かかっても、いえないでいるのである。が、これをいわない以上、おせい様は、お高のことばを取り上げるふうもないのだ。
 たとえおせい様が、これでいささかのうたがいを起こして、直接磯五に事の真偽をたしかめるとしても、磯五として、おべんちゃら一つでおせい様を丸め直すことは、すこしもむつかしいことでないにきまっている。そして、おせい様はいっそう、ちかいうちに磯屋のお内儀に迎えられることと信じこんで、ますます矢のような催促を、若松屋惣七へ向けるであろう。
 しかたがない。いってしまおうと、お高は思った。
「じつは、わたくしが――」
 やっぱり、いいよどんだ。おせい様は、いつのまにか、もとどおりにこにこ[#「にこにこ」に傍点]していた。おだやかに、お高のことばをくり返して、促した。
「はい。あなた様が――?」
「はい。あの、じつは、わたくしが――」
 そこへ、さっき取り次ぎに出た十六、七の小女があらわれた。小女は、縁側の障子のかげに指をついて、いった。
「あの、磯屋五兵衛様がお妹さまをおつれになって、お見えになりましてございます」

      五

 お高は、反射的に、たちあ
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