う」
「いいえ。五兵衛さんは、おかみさんが江戸にいることを、よく知っていますのでございます。会っていろいろ話をしまして、さきほども申しましたとおり、一日も早く帰ってきて、もとどおりいっしょに暮らしてくれと、五兵衛さんのほうから、話が出ましたくらいでございます」
「いいえ。それは、うそでございます」
「いいえ。ほんとでございます」
「いいえ。うそでございます。失礼でございますが、わたしは、あなた様より、お飾りの数をよけいくぐっておりますでございます。それだけに、殿方というものの見きわめが、はっきりとつくのでございます。もうこのおはなしは、お打ち切りに願いとうございます」
男というものの判断を誤らないと、おせい様がいうのだ。お高は、笑い出したくなって、自然に口の隅《すみ》が、上へうごいてきた。
自分こそ、その磯五の女房である――こう一こといいさえすれば、何よりの生きた証拠《しょうこ》として、それが、万事を解決するに相違ないのだ。
じっさいお高は、何度となく、思い切ってそのことをいおうかと思ったのだが、女同士のこころもちから、磯屋に寄せているおせい様の純真な愛と信《まこと》が、あまりに
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