ればならないという、自分の決心だけだ。
「わたくしは、あなた様から、どんな憎しみを受けましても、かまいませんでございます。ほんとのことを、申し上げるのでございます。あなた様が、五兵衛さんにだまされておいでなさるのを、黙って見ているわけには参りません。五兵衛さんの女房という女は、決して死んではおりません。生きているのでございます」
「仮に、生きていなさるとしましても五兵衛さまから立派に去り状が渡って、死んだも同然に、きれいに縁が切れているのでございましょうよ」
「いいえ。その縁切り状も、おかみさんのほうはほしがっているのでございますが、どうあっても、五兵衛さんがお出しにならないのでございます。でございますから、まだ立派に、夫婦なのでございます。そればかりか、五兵衛さんは、このごろしきりに、そのおかみさんに帰って来てくれと、頼みこんでいるのでございます」
 おせい様は、ちょっと不思議そうな顔をしたが、またすぐ、もとの笑顔にかえって、
「それは、まことに奇妙なおはなしでございますねえ。あなた様は、そのお内儀さんというお方を、ご存じでいらっしゃいますか」
「はい。お親しく願っておりますでござい
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