て、五兵衛さまがお可哀そうだと、お考えになるでございましょうよ。
 その、なくなったおかみさんという人にも、五兵衛さまは、ああいうお人でございますから、何もかも知りながら、それはそれはよくしましてねえ、ほんとに、あのお方は、一つとして非のうちどころのない、見上げたお方でございますよ。めずらしいお方でございますよ。あなた様も、あんなお従兄《いとこ》さんをお持ちで、何かと力になってくださることでしょうから、おしあわせでございますよ。
 あのお方は、女のこころもちが、こまかいところまでおわかりになりましてねえ、あんなにたよりになる方はございませんよ。わたしには、何でも話してくださいますが、その、わがまま女《もの》のお内儀さんという人にも、長いあいだ、したい三昧《ざんまい》をさせて、ずいぶん眼にあまることまで、見て見ぬふりをなすったのでございますよ。あなた様は、ちっともご存じないようでございますけれど、苦労をなすった方でございますよ」
 お高は、夢物語を聞いているような気がするのだ。ただ一つ、夢でないことは、じぶんはこれから、どうしても、このおせい様の眼に、あの磯五の面をはいで、見せてやらなけ
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