固い旦那さまの御性分は、よく存じ上げておりますでございますが、そこまでなさらなくても――一言お話しくだされば、きっと高がおとめ申したにと、恨みがましく考えられますでございます。
 その東兵衛さまとやらがお出しになった資金《もとで》は、申せば東兵衛さまが御自身でお擦《す》りになったものでございます。旦那さまは、御自身の分だけ御損をなすって、きれいにお手をお引きなすったほうが――」
「それが、そうは参らぬ。というわけは、東兵衛の女房子供が気の毒だし、また大口の借りがたくさん控えている。わたしは、東兵衛のおろした半分の資本《もとで》を、わたしの手で浮かび出させて、東兵衛の女房に返してやったのだ。つまり、それだけの現金《かね》で、借金《かり》だらけの具足屋を、わしひとりのものに買い取ったのだ。ありがたくない荷物は、ありがたくない荷物に相違ないが、あの場合やむを得んと思ったのだ」
 お高は、くらい中で眼をかがやかせているに相違なかった。男に傾倒するこころが、熱い息となった。
「だれにでもできるものではございません」
 若松屋惣七は、自嘲的《じちょうてき》に笑い出していた。
「なあに、それも、先へ
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