き、播磨守をはじめ一座ことごとく感じ入る。
正面の庭に、月が昇る。
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末座の一人 (左右を見廻して笑う)後は、この顔触れでは、あまり名刀も出ないようですな。一人ずつ奎堂先生をわずらわすほどのこともありますまい。それでは先生も大変だ。どうです、おあとはこみ[#「こみ」に傍点]にして願っては。
その隣 さようさ。そうすれば、女難の相なぞ現れた場合に、誰のかわからぬから顔を赤らめずにすむというもの。名案名案。
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一同笑い崩れる中に、言いだした侍が起って、残りの十人ほどの帯刀を一しょに集めて、ひとかかえ奎堂の前へ置く。まるで刀屋ですな、などという声がする。
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奎堂 (その一本一本を抜いては手早く観相して)これは吉。これも吉。これは半吉。これはどうも凶ですな。が、むろん。たいした悪相ではござらぬから、けっしてお気にかけぬように――これは吉凶半々。これは大吉です。失礼ながら作はあまりよくはないが、刀相としては大福なので。
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