はなかったとみえる。また、その閑山の知り人でこうして、自分を持てあましているこの方々も存外|狼《おおかみ》ではないかもしれない。が、それというのも、自分をすっかり死人と思い込んでいればこそで、ま、も少しじっ[#「じっ」に傍点]としてなりゆきを見るのが、このさい、何よりも利口なやり口。
動いてはならぬ。
動いてはならぬ。
主従、とぎれたことばを続けている。
「御前、この女は何者でござりましょう?」
「かか、閑山が殺したのじゃ」
「閑山が――?」
「こ、殺したのじゃ。殺して、よ、鎧櫃へ詰めて、いずくへか取りすてようと致したものであろう。し、仔細《しさい》はわからぬ」
「しかし御前――」
「とまず、申して、こ、これを種《たね》に閑山をゆするのじゃ」
この侍、一枚上をいっているよ、と女が感心していると、鞘《さや》走りの音がして、侍の手にぎらり[#「ぎらり」に傍点]と長刀が光った。
「死肉じゃが、久しぶりにためし斬り――」
これはたまらない。思い切って飛び起きようか。
なにさ、この辛棒《しんぼう》が肝心《かんじん》!
動いてはならぬ。
声を立ててはならぬ。
すると、猫侍が吃りの
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