つづれ烏羽玉
林不忘
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《テキスト中に現れる記号について》
《》:ルビ
(例)花吹雪《はなふぶき》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)浅草三社|権現《ごんげん》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#感嘆符疑問符、1−8−78]
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花吹雪《はなふぶき》
どこかで見たような顔だね
花を咲かすのが雨なら散らすのも雨。
隅田川《すみだがわ》木母寺《もくぼじ》梅若塚《うめわかづか》の大念仏は十五日で、この日はきまって雨が降る。いわゆる梅若の涙雨だが、それが三日も続いた末、忘れたようにからり[#「からり」に傍点]とあがった今日の十八日は、浅草三社|権現《ごんげん》のお祭、明日が蓑市《みのいち》、水茶屋の書き入れどきである。
阪東《ばんどう》第十三番目の聖観世音。
今も昔もかわらないのが浅草のにぎわいだ。軒堤燈《のきぢょうちん》がすう[#「すう」に傍点]っとならんで、つくり桜花《ばな》や風鈴、さっき出た花車《だし》はもう駒形《こまが
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