刀を押しとどめて、ぴったり据わっている女の額部《ひたい》に手を当てた。
 どきりとした女、胸の早鐘に合わせて、自分と自分へ一心に念じる。
 動いてはならぬ。
 動いてはならぬ。
 と、その胸に、猫侍の耳がくっついて、じいと感[#「感」はママ]をきいている。
 動いてはならぬ。
 動いては――。
「御前」
「な、何じゃ」
「この女、生きておりまする」
 はっとした瞬間。
「死美人生けるがごとしか。どけ」
 と猫侍を押しやった主人の足、またどっかり[#「どっかり」に傍点]と今度は女の顔の真ん中を踏まえた。
 眼と鼻と口をふさいで、大きな素足が載っている。
 あまりといえばあまりな!
 女の全身に持って生まれた血がおどった。が、ここが我慢! 苦しいだろうがこらえておくれ! と必死に呼吸《いき》を詰めて、断末魔のような無言の叫びが身内に渦まく。
 動いてはならぬ。
 息をしてはならぬ!
 足の重みが増してくる。
 息をしては――息をしては――動い――足が――足――押す――息――。
 あっ!
 と思った刹那《せつな》、咽喉《のど》の奥でぐう[#「ぐう」に傍点]というような音がして、侍の足の裏がす
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