人がなおもしきりに話し合っている。
ことばづかいから察して、どうやらお武家の主従らしいが、これはとんだことになったもの。うっかり出ちゃあどんな眼にあうかしれやしない――といってから、息苦しくてはもう一刻も我慢がならない。いっそ声を立てようか。いや待て待て。が、それはそうと、どうしてあたしをこんなところへ置いてけぼりにしたんだろう?
ことによると津賀閑山に、うまうま一杯食わされて――。
そういえば、湯灌場買いだけあって、爺《じじ》いめ食えない面をしていたよ。
そんなこと、今となってはいくら悔んでも追っつかない。ああ、あたしどうしよう。
ほんとにどうしよう。どうしたらいいだろう――
すると、まるでこの女の心に答えるように、
「な、何だか知らぬが、か、閑山から、かような物を受け取る筋はないぞ」
と言う声。
「しかし、遅くなってあいすみませぬと、使いの者が立派に口上まで述べて帰りました」
「こ、こ、この家へ来たのか」
「察するところ、これもまた例の門亡者《かどもうじゃ》にござりましょうか」
「うむ、亡者かな」
門亡者? 門亡者とは何だろう――地獄とやらへでもおちたのかしら、中の
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