出るもいっしょか。不思議な御縁だね」
手枕舎里好である。
流れゆく世の力
障子に映る日ざしが、だんだん薄くなって、軒の影がはっ[#「はっ」に傍点]と思うまに、もう驚くほど下がっている。
早い落日だ。
蒲団《ふとん》から顔を出して、守人は障子の影を見ながら、外部の世界を想像している。下駄《げた》の音や人声が寝ている下の横町を流れて行って、車の音や、女たちの声、さすがに親しい下町の夕ぐれである。寝ている身にとって、音が何を意味し、音だけですべての動きが察しられるのが、守人には涙ぐましくまたほほえみたい気持ちだった。
こうしているまも、同志たちは、本所割り下水の方来居に老主玄鶯院を囲んで大老要撃の画策を進めていることであろう――消息を絶ったあの女、惜しいところを逃がした遊佐銀二郎――あれからのこと、今後のこと、思えば一つとして気にならざるはない。
が、人にきいても何も話してはくれない。文次も安兵衛も笑っているばかりで、何一つ、教えてくれようとはしないのだ。――。
守人が障子の桟《さん》をはう隣の物干竿《ものほしざお》の影を、ぼんやりと見ていると、とんとん[#「とんとん
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