っとことばが切れると、気がつく先にお蔦は、他の二人といっしょに、軽く頭を下げて、同意の意を表わしていた。
机の向こうで白い袋を中心に、しばらく相談があった後、内藤伊織の声で、
「日本橋浮世小路、いろは寿司方――いろは屋文次、此奴《こやつ》ですな。今夜は一つここへ向けましょう」
と、いうと、白い袋がうなずくのを待って、伊織は三人へ向き直って続ける。
「俺らは、手前《てめえ》らの正体なんか知りたくもねえが、その風態《なり》では、いくら夜中でも、江戸の町あ歩けねえから、いいか、ここを出たら庭で三人いっしょに袋を脱いで、桜の木へ掛けて行くんだ。
――行く先は今いったすしや。今夜は、盗って来る物は何もねえ。人間一匹の命だけだ。いろは屋文次という、此奴は岡っ引きだが、こうるせえ野郎でな。いつぞやの晩は、俺と、ここにいるもう一人が、すんでのことで、からめられる所だった。まあ、その返報ってわけでもねえが、あんな野郎を生かしといちゃあ、この先どんな邪魔をするかしれやしねえ。
で、これから、手前たち三人が出かけて行って、そのいろは屋を殺《ばら》すんだが、必ず首を持って来いよ。わかったら早いがいい。
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