たばったりと消息を絶った。
銀二郎を探し出してきくべきことをきき、そのうえで、次第によっては帰雁に物をいわせてやろう――と、守人は、夜ごとに方来居を立ちいでていたのだが、まもなく数寄屋橋ぎわの闇黒《やみ》で会ったのが、先夜の同心税所邦之助だったから、守人はさっそく携えている革袋から嗜人草を一本取り出して――。
その晩、方来居に帰って来て、守人は人さし指を一本出して見せた。
「誰じゃったな?」玄鶯院がきいた。
「税所でござる。あの同心の」
「ほほう、でかしたのう」こういって玄鶯院はにっこりしていた。
こちらはいろは屋文次と御免安兵衛。
今度こそはと眼ざして行った鳥が立ったあとで、三味線堀の家が留守なので、また手がかりを失った形で、
「親分、どうしたもんでしょうね」
「そうよな。ま、当分|日和見《ひよりみ》だ」
いいながら、夜ふけて浮世小路のいろは寿司へ帰ってみると、いま屋根屋新道からお使いがあって、旦那があぶないとのこと。
きいてみると、死に花らしいというから、文次と安、息せき切って八丁堀へかけつけた。来てみるともう医者が来ていて、すぐに草を抜いて、あとの毒血を吸い出し、全身
前へ
次へ
全240ページ中188ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
林 不忘 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング