あ、そこは何とかつくろって妹ということに口を合わせよう。はははは。では、わしは出かけるからね、寝るなと起きるなと気ままにして留守を頼みますよ。なに、夕方までには帰ります」
 いいながら里好、すっぱり脱いで着かえにかかった。
 手を添えに立った女は、その牛のようにたくましい体格に驚いてしまった。
 狂歌の先生には必要のない、隆々《りゅうりゅう》たる肉の瘤《こぶ》、しかも鍛えのあとが見えている。
「面白かったな昨夜は」里好腕をさすってひとり悦に入っている。「木っ葉野郎どもを投げ飛ばしたが、しかし、考えてみると、めっぽう弱いやつがそろっていたようだ」
 といささか不審そうな顔。そりゃそのはず。むこうは自力でころんだんだ。が、たとえ真気《ほんき》にかかっても、このからだには歯が立つまい。
 これが道楽であろう。服装《なり》だけはりゅう[#「りゅう」に傍点]として凝ったもの。蔵前《くらまえ》の旦那《だんな》みたいに気取り返って、雪駄《せった》を突っかけて出て行った。
「行ってらっしゃいまし」
 と送り出した自称おきん、自分の何者であるかを棚《たな》へ上げて、
「はて、あのお方は何だろうねえ。とき
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