り飛ばされてこの始末よ」
「おうやおや、お前も投げられた組か」
「自慢じゃねえが、真先にやられた。俺が来たときあちょうど始まるところだったから、おのれってんで武者振り――」
「おいおい、わかったってことよ。そう身振りをしちゃあ泥が飛んでしようがねえ」
「そうか。どっちへ行った、女は?」
「野郎といっしょにあっちへ行った」
「あっちへ行ったといって、立って見てるやつもねえもんだ。追っかけねえのかよ。じれってえな、こいつら」
やつ当たりの丹三について、一丁先の曲がり角までぞろぞろ[#「ぞろぞろ」に傍点]行ってみたが、男も女もとうの昔に姿を消している。
「おらあ帰って、殿様に合わす顔がねえ」
丹三が泣き出しそう。
「なあにお前、案ずるこたあねえさ。そのまんま持って行くがいいや、どうも裏表なしの塗りつぶしと来てらあ」
ひどいことをいうやつもある。
頭巾で包んでいたから相手の顔はわからないが、明らかに武士《さむらい》ではない。
かといって、あんなに強い町人があろうとも思われぬ。
男を売るのが商売の侠客《きょうかく》か。
とにかく、網の中の魚を大海に逸したも同様で、今さらこぼ[#「こ
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