あんまりほめたざまじゃあなかったぜ」
「なんにしてもまあ、えれえ手違えになったもんよなあ」
「狂言だと思って投げられていたこちとら[#「こちとら」に傍点]こそいい面の皮だ」
「全くだ。こんな御難はねえ」
「おらあ投げられてもいいから、もう一度あの女を見てえ」
「ちえっ! それだけ鼻の下が長けれあ豪気なもんだ。丹三はどうした、丹三は」
「丹三の来ようが遅いから起こったこった」
「丹三はどこにいる? 丹三!」
「丹三あっ! たんざあああうっ!」
「丹三、丹三い!」
「えおう、たんざあい!」
 丹三、丹三と丹三を売りに来たようなにぎやかさ。
 丹三やい、帝釈やいと呼ばわっていると――、
「おい、ここだ、ここだ、助けてくれ」
 という情けない声がして、路傍《みちばた》の大溝《おおどぶ》から帝釈丹三が今やはいあがるところ。
 寄ってたかって引き揚げたが、その臭いこと、一同あっ[#「あっ」に傍点]と鼻をつまんだ。
 いい若い者がどぶ[#「どぶ」に傍点]泥まみれ、名前のとおりに帝釈さまの金仏そっくり。
「どうした、丹兄い」
「どうもこうもねえ。背後《うしろ》からかぶり[#「かぶり」に傍点]ついたら振
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