見すまし、台所に行って庖丁でまずその身体を二つに切りさきました。それからもっと細かくきざんで、ストーブで燃してしまうつもりだったのです。この仕事を私は便所の手洗の所ではじめました」
この自白は全部が事実とは思われない。何故ならば、発見された肉片は全部をよせてもまだ、小児の身体を完成しなかったから。即ち四つのある特殊の器官がとうとう見出せなかったのである。
九月八日、プラースラロケットでこの若者は死刑を執行された。
彼も殺人狂の一人である。而も法律上の責任は負うべしと認められたわけである。
三、ソレイラン事件
ソレイランの事件もメネルーの事件と殆ど同じようであるが、此の事件の主人公は、仏国大統領の特別な仁慈により死刑を免れる事が出来たが、此の特別な仁慈は、輿論の反対を非常に惹起して大統領ファリエールは大に人気を失うに至った。
一九〇七年一月三十一日リュー・サンモール七六番地に住んでいたエルベルディング夫人は、アルベール・ソレイランという二十六歳になる男と往来で偶然に出会った。此のソレイランという男は相当に有福な家の息子で、エルベルディングはそこの家に家政婦としてつ
前へ
次へ
全23ページ中15ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
浜尾 四郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング