殺人狂の話
(欧米犯罪実話)
浜尾四郎
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)仮令《たとえ》
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殺人という大罪を犯すには種々な動機がある。一番多いのは、怨恨とそれから利慾だろう。
怨みで人を殺すもの、金をとろう又は財産を得ようとして人を殺すもの、これ等はずい分数もあり日常の新聞紙上などにも盛んに出されるところだから一般にその理由はうなずく事が出来る。
ところがここに何等左様な原因がなくて人殺しを敢行する人間がある。彼らに「何故、人殺しをしたか」ときけば彼らはただ「殺したかったから殺した」とか或は「ただふらふらと殺したくなったからやっつけたんだ」と答えるのである。即ち「殺人の為の殺人」を行う手合で、まことに物騒千万な人達であり、犠牲者こそいいめいわくと云いたいようなものだ。
怨みの為に殺される人、金をもっていて殺される人などは、仮令《たとえ》自分達に責任はないにしろ一応犠牲者の方にも殺される理由があるのだが、殺人狂の被害者に至っては、まったく
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