あし」をやってはしきりに手なずけている、といっているという申立をやった。
 勿論この噂だけでは何の証拠にもならず、又それが事実としてもまだ何らメネルーに嫌疑をかけるべき直接証拠にならないので、警察では、まず、ルイズがメネルーの処にいるかどうか十分たしかめるようにとデュー夫人に注意した。
 そこでデュー夫人は帰宅するとメネルーに又ルイズの事をきいたけれども、依然として彼らは全くルイズをその日見た事はないという事を明かに答えたのである。
 そこでデュー夫人は又一階上って若いメネルーの部屋に行って戸をたたいた。
 息子のメネルーはもうベッドにはいっていたが、デュー夫人が戸を叩くと、中から、
「何しに来たんです。ルイズの事なんか知らないとさっきも云ったじゃありませんか」
 とつっけんどんに云ったが、彼女がしきりと戸を開けてくれというととうとう戸をあけたのでデュー夫人は、遠慮なく室内にはいって行ったけれども、メネルーの外は誰もそこにはいない。彼女はひざをついてベッドの下や何かを見たけれどやはりそこにも誰もかくれてはいなかった。
「さあ、もうこれで十分でしょう。気がすんだでしょう。さっさと帰って下
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