始めてその真価を発揮し、それによってますます偉力を増すところのものである。
来たる三月十四日はちょうどマルクスの五十年祭にあたる。マルクスの理論と、その思想的政治的影響力とはマルクスの死によって亡びることなく、革命的[#「革命的」に「×」の傍記]プロレタリアートの成長とともに発展し、拡大した。ことに、マルクスの最も偉大なる弟子レーニンによって指導されたロシアのプロレタリアートは、すでに十五年前において、マルクスの理論の正しさを十月革命によって示した。世界のプロレタリアートは、世界史上始めて自分らの祖国、ソビエト同盟を持つようになり、今日、世界は二つの相対立する体制、すなわちマルクス、レーニンの理論に基づいて社会主義建設に躍進的発展を遂げ、すでに階級としての富農を一掃し、さらに第二次五カ年計画の完成によって階級対立の物質的基礎を最後的に掘り返してしまわんとしている社会主義体制ソビエト同盟と、恐慌の深刻化と大量馘首[#「大量馘首」に「×」の傍記]の強行とによって労働者農民大衆を餓死に追いやるところ[#「餓死に追いやるところ」に「×」の傍記]の、階級対立闘争を激化して、「新しき政治的危機[#「政治的危機」に「×」の傍記]」の時期に突入しつつある資本主義体制とに分裂している。マルクス、エンゲルスによって有名な『共産党宣言』の書かれた今から八十五年の昔に、西ヨーロッパの資本家、地主たちの夢を脅かした共産党の怪物は、今日では世界のいたるところに横行出没するようになり、どうすることもできないほど、巨きな存在となっている。それほど今日、マルクス、レーニンの理論の勤労大衆の間における政治的、組織的影響力は巨大なものになっている。
労働者、農民の革命[#「革命」に「×」の傍記]的台頭と大衆闘争の中におけるマルクス・レーニン主義の思想的、組織的影響力の増大と同時に、しかしながら、マルクス・レーニン主義の歪曲、俗学化もまたますます広範に行われ、階級闘争の場面においてはもちろん、真面目なる科学的研究の領域においても恐るべき害毒を流していることを見逃すことができない。マルクス主義の歪曲は、今日ブルジョア学者や社会民主主義特に左翼社会民主主義者によって意識的になされているが、その害毒は、プロレタリアートの戦闘的な指導者、真面目なマルクス学徒にまで相当広くそして深く悪影響を及ぼしている。マルク
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