ス・レーニン主義の歪曲、俗学化に対する闘争は、それゆえ、マルクス五十年祭を記念するために、最も重要なそして意義のある事業である。この闘争において必要な第一のことは、マルクス、エンゲルス、レーニン自身によって書かれた今はすでに歴史的なものとなっている文献に直接親しみ、解説書等で間に合わせをすることなく、たとえ一年に一冊でもよいからそれを再三再四精読し、それによって、ややともすれば歪められがちなわれわれの物の観方を正しくし、鈍らされがちな考え方を鋭くするように絶えず努力することである。碁、将棋を正式にやろうとする者に定石の習得、実戦によるその活用の習練とともに、直接、または古棋譜等を通して間接にでも、名人上手に聞くことが必要なように、われわれマルクス学徒にとっても、マルクス・レーニン主義の一応の理解をもって満足することなく、それを実践に移して(というのは、必ずしもいわゆる実際運動にということだけを意味しない、理論的な研究活動も実践である)活用するとともに、機会あるごとに絶えずマルクス、レーニンに聴くことが必要である。マルクス・レーニン主義の歪曲はその公式的理解に始まり、その公式の乱用にきわまる。実践の忙しさの中にマルクス、レーニンに聴け! これをマルクス五十年祭を記念する合言葉、特に社会民主主義者どもの歪曲に対する闘争を強化して、マルクス・レーニン主義の正しき普及化をなすためのわれわれマルクス学徒の合言葉としたい。
[#地から2字上げ]――『鉄塔』一九三三年三月号――
底本:「野呂栄太郎全集 下」新日本出版社
1994(平成6)年12月5日第1刷発行
初出:「鉄塔」
1933(昭和8)年3月号
※初出の伏せ字は、底本では編集部によって復元され、当該の箇所には×が傍記されています。
入力:山田剛
校正:川向直樹
2004年6月27日作成
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