紀州は蜜柑の
よいところ

お一つ数へりや
日が暮れる

お二つ数へりや
夜が明ける

夜明けにや高野で
鐘が鳴る


[#1字下げ]はぐれ島[#「はぐれ島」は大見出し]

島はひとりぽつち
ぽろりと一つ

 海ン中に ホイ

ぽろり一つぢや
友達ヤなかろ

 離れ島 ホイ

いつも離れ島
ぽろりと一つ

 ひとりぽつち ホイ

一つぽろりぢや
日が永いだろ

 はぐれ島 ホイ


[#1字下げ]水鉄砲[#「水鉄砲」は大見出し]

みんなで来い みんなで来い
水鉄砲 しゆう
しゆう しゆう しゆう

水持つて来い 水持つて来い
水鉄砲 しゆう
しゆう しゆう しゆう

いそいで来い 遊びに来い
水鉄砲 しゆう
しゆう しゆう しゆう

跣足《はだし》で来い かけかけ来い
水鉄砲 しゆう
しゆう しゆう しゆう


[#1字下げ]おめめとおてて[#「おめめとおてて」は大見出し]

一つよいよい
この子の
お眼《めめ》

唄ではやせば
すやすや
ねむる

二つよいよい
この子の
お手《てて》

おもちや持たせりや
ひとりで
あそぶ

一ついやいや
この子の
お眼

見れば欲しがる
見せなきや
ねだる

二ついやいや
この子のお手

あきりやおもちやを
みんな投げる
みんな投げる


[#1字下げ]箱根の山[#「箱根の山」は大見出し]

箱根のお山で
狐が啼いた

とんがり口して
コーンと啼いた

とんがり口して
コーンと啼いた

懸巣が真似して
コーンと啼いた

ほんとの狐と
狐が思つた

とんがり口して
ココンと啼いた


[#1字下げ]蟹の御飯炊き[#「蟹の御飯炊き」は大見出し]

蟹さん御飯炊きや
忙がしね 忙がしね

お客が来るから
よくお炊き

上手に炊かなきや
火が消える 火が消える

消えたら御飯が
炊かれない

蟹さん御飯炊きや
上手だね 上手だね


[#1字下げ]桃太郎さんのお供[#「桃太郎さんのお供」は大見出し]

桃太郎さんは
お供に 誰をつれてつた

雉子《きじ》とお猿と
犬とつれてつた つれてつた

桃太郎さんの
お供は 何を持つてつた

雉子に 桃太郎さんは
槍をかつがせた

お猿に 桃太郎さんは
旗をかつがせた

犬は 桃太郎さんの
お馬になつてつた


[#1字下げ]鼠の嫁入り[#「鼠の嫁入り」は大見出し]

鼠の嫁入り
紙の袋に
お米をいれてもつてつた

鼠の嫁さん
ちよろちよろ歩き

お耳にかんざし
ちよこらとさしてゐた

お耳のかんざし
お眼《めめ》はポチポチ

鼠の嫁さん
お髯が生えてゐた

鼠の嫁入り
お供の皆さん

お米のはいつた
紙の袋を
ひつぱりひつぱりもつてつた


[#1字下げ]かもめ[#「かもめ」は大見出し]

かもめ飛んだ 飛んだ
かもめ が 飛んだ

一羽 おくれて
あとから 飛んだ

海は遠いし
渚は長し。

かもめ飛んだ 飛んだ
あとから 飛んだ

一羽 はぐれて
いそいで 飛んだ

海は遠いし
渚は長し。


[#1字下げ]かくれんぼ[#「かくれんぼ」は大見出し]

見えた 見えた 見えた
足《あんよ》が見えた

お顔かくして
かくれんぼしてる

見えた 見えた 見えた
お手《てて》が見えた

お眼《めめ》かくして
かくれんぼしてる

見えた 見えた 見えた
お顔が見えた

お眼つぶつて
かくれんぼしてる。


[#1字下げ]尾上の松[#「尾上の松」は大見出し]

尾上《をのへ》の松に
鶴が来てとまりや
鶴が来てとまりや

松葉がパアラパラ

松葉の数は
一本一本かぞへりや
千年かかる

千年目にも
鶴が来てとまりや
鶴が来てとまりや

松葉がパアラパラ

松葉の数は
一本一本かぞへりや
万年かかる。


[#1字下げ]機織り[#「機織り」は大見出し]

おいで おいで おいで
お客においで

わたしや このごろ
機《はた》を織りました

 一つ日の出の
   鶴を織りました

 二つ芙蓉の
   花を織りました

 三つ三笠の
   月を織りました

 鶴は日の出に
   向いて啼きました

 花はりんりん
   りんと咲きました

 月は遙に
   冴えて照りました

おいで おいで おいで
お客に おいで

わたしや 美事に
機を織りました


[#1字下げ]鼠の小母さん[#「鼠の小母さん」は大見出し]

いまここ鼠が
ちよつと通つた

鼠の小母《をば》さん
蝙蝠《かうもり》さん

いまここ鼠が
ちよつと通つた

鼠の小母さん
蝙蝠さん

御門《ごもん》の扉を
見やしやんせ

お月さんがちよつと出て
ちよつと射した

月夜になつたら
蝙蝠さん

鼠もちよつと呼んで
ちよつと遊ぼ


[#1字下げ]七つ星[#「七つ星」は大見出し]

七つならんだ
    七
前へ 次へ
全9ページ中3ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
野口 雨情 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング