狐の提灯 ポウ
ポウポウ狐の
提灯行列 ポウ
陸《をか》は万作だ
天からお金が降つて来る
浜は大漁だ
海からお金が湧いて来る
狐の提灯ポウ
ポウポウ狐の
提灯行列 ポウ
[#1字下げ]一本橋[#「一本橋」は大見出し]
橋が流れた
ヨイヨイヨイサ
一本橋おかけ
仮橋おかけ
一本橋かけた
仮橋かけた
一本橋アゆれる
ヨイヨイヨイサ
一本橋渡れ
仮橋渡れ
早く渡らにや
また橋ア流る
[#1字下げ]雪こんこん[#「雪こんこん」は大見出し]
サート サラサラ
サート サラサラ
雪雪 こんこん
降つて来な
泣く子はお家《うち》へ
ひつこみな
サート サラサラ
サート サラサラ
山から粉雪
降つて来な
泣く子のお眼《めめ》へ
飛んでゆきな
[#1字下げ]木の葉の駈けくら[#「木の葉の駈けくら」は大見出し]
木の葉の駈けくら
エッサッサ
とんだり
はねたり
ころころ駈け出す
エッサッサ
エッサ エッサ
エッサッサ
木の葉の
駈けくら
風の吹く中
エッサッサ
[#1字下げ]お馬と仔馬[#「お馬と仔馬」は大見出し]
お屋根にお日さま
ぽつかりこ
干草ながめて
ヒーンとないた
お馬は
お出かけだ
お庭にお日さま
ぽつかりこ
干草ながめて
ヒーンとないた
仔馬も
お出かけだ
お日さまかんかん
お日さまかんかん
厩《うまや》はおるすで
ひつそりこ
[#1字下げ]お供は後よ[#「お供は後よ」は大見出し]
お供は後《あと》よ
お供は後よ
お供は後から
ついて来る
エッサエッサエッササ
エッサエッサエッササ
お荷物かづいて
ついて来る
お荷物何よ
お荷物何よ
お客にお土産
持つて来る
エッサエッサエッササ
エッサエッサエッササ
お供がお土産
かづいてる
[#1字下げ]烏の番雀の番[#「烏の番雀の番」は大見出し]
烏が種蒔く
雀が見てゐる
雀が種蒔く
烏が見てゐる
烏は雀の
番してる
雀は烏の
番してる
雀も困つた
烏も困つた
雀も烏も
困つちやつた
[#1字下げ]鳶のお昼寝[#「鳶のお昼寝」は大見出し]
枯れ木にとまつて
鳶《とんび》がお昼寝
落ちたらあぶない
ピーヒヨロ ロー
枯れ木でお昼寝
鳶が夢見た
飛ばぬとあぶない
ピーヒヨロ ロー
[#1字下げ]茶柄杓[#「茶柄杓」は大見出し]
甘茶が わいた
茶がわいた
お寺の茶釜に
いつぱい わいた
柄杓《ひしやく》で汲まなきや
汲まれない
柄杓で汲んだりや
ちよいと汲めた
お釈迦《しやか》さんにちよいと汲んで
ちよいとあげた
[#1字下げ]張り子の虎[#「張り子の虎」は大見出し]
たんたん
竹藪
走れよ
虎よ
千里走つて
また千里帰れ
たんたん
竹藪
張り子の
虎よ
千里走つて
また千里帰れ
[#1字下げ]お猿の顔[#「お猿の顔」は大見出し]
お猿がお山にゐたころは
木の実を拾つて
食べてゐた
木の実を拾つて食べてても
お顔はやつぱり
赤かつた
お顔の赤いは生れつき
怒つてゐるンで
ないんだよ
[#1字下げ]霜夜の狐[#「霜夜の狐」は大見出し]
寒い声出した
霜夜の狐
コンコン
コン
その声ア寒い
も一度出せよ
コンコン
コン
永い夜は寒いナ
寒い夜は永いナ
コンコン
コン
[#1字下げ]雀の使ひ[#「雀の使ひ」は大見出し]
雀の使ひが
まゐりました
雀の使ひが
まゐりました
どこから使ひが
まゐりました
雀の宿から
まゐりました
雀の宿から
まゐりました
お土産届けに
まゐりました
[#1字下げ]粉雪[#「粉雪」は大見出し]
ちらりと
粉雪
降つて来た
風呂場で
風呂汲め
風呂わかせ
ちらりと
粉雪
降つて来た
柄杓《ひしやく》に
柄がない
底がない
底なし
手桶に
水がない
河原に
かはせみ
啼いて来る
[#1字下げ]カツコ鳥[#「カツコ鳥」は大見出し]
山でカツコカツコ
カツコ鳥啼いた
山でカツコカツコ
あの啼く声は
『雨の降る
日にや
雨傘ほしや』
『暗い
闇夜にや
提灯ほしや』
山でカツコカツコ
カツコ鳥啼いた
高い山から
里みて啼いた
[#1字下げ]高野山[#「高野山」は大見出し]
日暮れにや日暮れの
鐘が鳴る
高野《こうや》のお山は
紀伊の国
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