つ星

七つならんで
    夜《よ》が更ける

夜ふけにやお星も
    みなねむる

眠れば静《しずか》に
    夜が更ける

眠れよ七つの
    七つ星

夜更けにやお星も
    みなねむる


[#1字下げ]海坊主小坊主[#「海坊主小坊主」は大見出し]

カンカラカンカラカン
海坊主 出たぞ

小坊主の先きに
海坊主 出たぞ

カンカラカンカラカン
海坊主 小坊主

小坊主も 出たぞ
カンカラカンカラカン


[#1字下げ]芒の穂[#「芒の穂」は大見出し]

山の芒《すすき》の穂
山から風吹きや ホウイ

 里の方へ ホウイ

山から里見て
わが山 忘れた ホウイ

里の芒の穂
里から山見た ホウイ

 山の方へ ホウイ

山から手招ぎや
わが里 忘れた ホウイ


[#1字下げ]影踏み[#「影踏み」は大見出し]

お出し お月さん
影法師 お出し

 出そか 影法師
 踏まそか とんと

お出し 影法師
影法師 お出し

 出した 影法師
 踏んだか とんと

お出し お月さん
影法師 お出し

 お出し 影法師
 踏むから お出し


[#1字下げ]眠り亀の子[#「眠り亀の子」は大見出し]

眠れ眠れ
首出した
亀の子

 亀の子が
 眠つた

眠れ眠れ
足出した
亀の子

 亀の子が
 眠つた

眠れ眠れ
眠つたか
亀の子

 亀の子が
 眠つた


[#1字下げ]雀の機織り[#「雀の機織り」は大見出し]

雀の機《はた》織り
雀の機織り

雀が機織る
雀の機織り

よく織る よく織る
 チン チン パタ パタ
 チン チン パタ パタ

お藪で機織る
雀の機織り

今日きり日がない
お嫁のお支度

忙がし 忙がし
 チン チン パタ パタ
 チン チン パタ パタ


[#1字下げ]宮城野の萩[#「宮城野の萩」は大見出し]

宮城野の萩は
薄《すすき》の蔭に
ちよつぴり咲いた

お馬が通ると
薄の蔭で
お馬を見てる

急げよお馬
薄の蔭を
ちよつぴり急げ

宮城野の萩は
薄の蔭で
お馬を見てる


[#1字下げ]秋の月[#「秋の月」は大見出し]

石山寺の秋の月
瀬田の唐橋《からはし》誰《た》が渡る
たれも渡らぬわしや渡る

橋の上から下見れば
水にうつるはわが姿
月は姿にみとれてる

帰る矢橋《やばせ》の船でさへ
風が吹かなきや
帰られぬ

帰らにやわが児に逢はれない
月は帰りを
急いでる。


[#1字下げ]こほろぎ遊び[#「こほろぎ遊び」は大見出し]

こほろぎ コロコロ
夜長だな

夜長だ 夜長だ
帯くけた

その帯 どの子に
締させる

この子に この帯
締させる。


[#1字下げ]かくれんぼ[#「かくれんぼ」は大見出し]

下駄に火がつく
かくれんぼ出て来《こ》

出て来 かくれんぼ
鼻緒が燃える

下駄に火がつく
鬼さん留守だ

出て来 かくれんぼ
かくれんぼ出て来


[#1字下げ]雲雀の水汲み[#「雲雀の水汲み」は大見出し]

雲雀《ひばり》の水汲み
お日さま高いぞ

さつさと
水汲め

水なし畑に
畑がなるまで

さつさと
水汲め

お日さま高いぞ
お日さま高いぞ

さつさと
水汲め

水なし畑に
畑がなるまで

さつさと
水汲め


[#1字下げ]鶯の夢[#「鶯の夢」は大見出し]

梅の小枝で 梅の小枝で
鶯は
雪の降る夜の
夢をみた

野にも山にも
雪ばかり
サラ サーラと
雪ばかり

雪の降る夜に 雪の降る夜に
鶯は
梅の花咲く
夢をみた

野にも山にも
梅ばかり
チラ チーラと
梅ばかり


[#1字下げ]藪の下道[#「藪の下道」は大見出し]

ここを通れば雀のお宿
ここのこの道近道ぢや

さアさ急いで通りなさい

雀のお宿にや雀はお留守
ここのこの道近道ぢや

さアさ急いで通りなさい

早く通らにや雀が帰る
ここのこの道近道ぢや

さアさ急いで通りなさい


[#1字下げ]チツクリ虫[#「チツクリ虫」は大見出し]

とんぼ来い来い
釣瓶《つるべ》にとまれ

井戸の釣瓶は
日が永い

草にとまるな
チツクリ虫ゐるぞ

今朝も泣く子の
足刺した


[#1字下げ]子鳩の歌[#「子鳩の歌」は大見出し]

山は晴れたぞ
野に寝た 子鳩

帰れ 子鳩よ
もどれよ 山へ

はぐれ子鳩に
なるから 帰れ

野には 野狐
畑にや鼬《いたち》

鼬ア啼いたぞ
戻れよ 子鳩

狐ア来るから
帰れよ 子鳩


[#1字下げ]赤とんぼ[#「赤とんぼ」は大見出し]

つんつん 飛んでる
赤とんぼ
金魚屋の 金魚は
何してた

みんなで並んで
水呑んでた

つんつん 飛んでる
赤とんぼ
鳥屋《とつとや》の 鶏《とつと》は
何してた

みんなで並んで
ねんねしてた


[#1字下げ]お母さんと一緒[#「
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