字下げ]麻幹畑[#「麻幹畑」は中見出し]
お竹 十七
麻幹畑《あさがらばたけ》
麻の葉でさへ
枯れればさびし
お竹 十七
麻幹畑
なじよにしましヨと
ひとりで泣いた。
[#1字下げ]おけら[#「おけら」は中見出し]
左官が 左官が
蔵建てた
おけらが三匹
出て啼いた
大工が 大工が
家建てた
お月さん ぽかんと
眺めてる。
[#1字下げ]子安貝[#「子安貝」は中見出し]
渚の 渚の
子安貝
波 どんど
波 どんど
子安貝
今日から ふたりで
暮しませう
お前も
わたしも
子安貝。
[#1字下げ]づぶりこ[#「づぶりこ」は中見出し]
づぶりこ づぶりこで
日ばかり暮す
今朝も とつぷりこと
づぶりこで寝てる
「起きてくれろ」と
あぐらこで言へば
びかん びかんと
眼ばかり出した
壁の隙間さ
天日《てんぴ》のさすに
「外は風だ」と
づぶりこで寝てる。
[#1字下げ]一軒家[#「一軒家」は中見出し]
姉は 男に
だまされた
野中《のなか》の一軒家の
きりぎりす
機場《はたば》に売られた
妹は
とんがらがん とんがらがん
暮してる
姉は 男に
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