んに さうか」と
窓から見てた

雨の降るのに
甚句《じんく》で通る

蛇の目|傘《からかさ》は
すんなすんなだ

[#2字下げ]五[#「五」は小見出し]

早い月日だ
もう十八だ

可愛《かあい》男《をとこ》も
持つ齢頃だ

お春娘は
出て空見てる

男 空から
降つて来よか。


[#1字下げ]磯の上[#「磯の上」は中見出し]

親恋しがりの子雀よ
親が恋しく
海へ来たのか

海を越えていつて了つた
親雀は
お前のことは忘れてゐるぞ

いくら待つても
元の親には逢はれないのだ
帰れ 帰れ

海の端《はた》で日が暮れたら
子雀よ
本当のはぐれ雀になつてしまうぞ

親の古巣に
妹は
姉はゐないか子雀よ

遙に遠き
沙原に
もう日は山から暮れて来る

海|鵯《ひよどり》よ
子雀は磯にとまつて動かない
だまして山へ帰さぬか。


[#1字下げ]芒の葉[#「芒の葉」は中見出し]

「死なば共だ」と
新吉さんは
裏の お玉坊と
畑で泣いた

ウンニヤ 新吉さんは
小指の先を
細い芒《すすき》の
葉で切りました

裏の お玉坊も
泣き泣き指を
共に芒の
葉で切りました。


[#1字下げ]生姜畑
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