の 十文字で
烏が啼いた

不思議 打《ぶ》ち打ち
烏が啼いた

何《な》んのことだろ
胸まで響く

今日もかんぶり振つて
また 啼いた。


[#1字下げ]渡り鳥[#「渡り鳥」は中見出し]

渡り鳥が渡つてぐ
枯れ山の
小笹の上を渡つてぐ

渦巻きの渦を巻き巻き
枯れ山の
小笹の上を渡つてぐ

枯れ山の小笹の上に
渦巻きの
渦を巻き巻き渡つてぐ。


[#1字下げ]お春娘[#「お春娘」は中見出し]

[#2字下げ]一[#「一」は小見出し]

お春娘は
麦刈りしてる

足のかかとに
「どうだ」と聞いた

親も親父も
天上面してる

日和《ひより》駒下駄は
ぽつこぽつこだ。

[#2字下げ]二[#「二」は小見出し]

朧月夜は
ぼんやりしてる

お春娘も
ぼんやりしてる

風の吹く夜は
風呂場に来てた

切れて了へば
つンけつンけだ

[#2字下げ]三[#「三」は小見出し]

お春娘は
蒟蒻玉《こんにやくだま》見てる

真の闇夜は
下半月《しもはんつき》だ

お春娘も
下半月だ

続く闇夜は
とんけとんけだ

[#2字下げ]四[#「四」は小見出し]

お春娘は
「やだよ」とゆふた

「ほ
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