した。
[#1字下げ]悲しき恋[#「悲しき恋」は中見出し]
愛しますよと
かすかだが
胸の底から響くでせう
忘れませぬよと
かすかだが
ほろり涙が落ちました
君もわたしも
はかなさは
枯れて名もなき草でせう
死んで了へば
それなりに
消えて跡なき二人です。
[#1字下げ]儚き日[#「儚き日」は中見出し]
君のたよりの
来た日から
かなしい噂がたちました
水に流して呉れろとは
夢と思への
謎か知ら
走り書きだが
仮名文字で
「涙」と記してありました
水に流して呉れろとは
熱い涙の
事か知ら。
[#1字下げ]草萠[#「草萠」は中見出し]
赤い花なら
燃えると思へ
若い娘は
皆身が燃える
白い手拭
うしろに結び
赤い花だと
身ばかり燃やす。
[#1字下げ]下総のお吉[#「下総のお吉」は中見出し]
去年 別れた
下総《しもふさ》の
お吉《きち》は今も
居るだろか
浮草の花かと
聞けば
浮草の
花だと泣いた
下総の
お吉は今も
居るだろか
己《おれ》を待ち 待ち
下総に
嫁にゆかずに
居るだろか。
[#1字下げ]十文字[#「十文字」は中見出し]
道
前へ
次へ
全20ページ中12ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
野口 雨情 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング