中見出し終わり]
娘
劉さん
赤ん坊が生れたならばどうしませう
何処へたのんで育てませう
劉
ワタシ ワカラナイ アナタ スル ヨロシー
娘
横浜の叔母さん所《どこ》へ遣りませう
新しい一※[#「ころもへん+身」、第4水準2−88−21]《ひとつみ》の一《ひとつ》も着せて遣りませう
[#3字下げ][#中見出し]※[#ローマ数字2、1−13−22][#中見出し終わり]
娘
叔母さんに断られたらどうしませう
劉
ワタシ クニ トホイ ワカリマセン
娘
悲しいけれど捨てませう
顔の見えない闇の晩
ミルクの管《くだ》を哺《くく》ませて――公園のベンチの上に捨てませう
[#3字下げ][#中見出し]※[#ローマ数字3、1−13−23][#中見出し終わり]
娘
お月夜の晩であつたらどうしませう
お月夜が続いて居たらどうしませう
育てませうか捨てましよか
劉
ワタシ ニホン タツ アナタ タノム
娘
薄情な、薄情な劉さん
思ひ切つて――悲しいけれど捨てませう
ベンチの上に青々と月がさしたら泣くでせう
わ
前へ
次へ
全22ページ中12ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
野口 雨情 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング