昔も 今も
湖の上さ
太鼓橋かけた
湖の上さ
百間幅の
太鼓橋かけた
[#ここで字下げ終わり]
今日も、村の子供達は、湖の岸に立つて唄つて居りました。
(五)
それから、幾日かたつて、おたあちやんとおたあちやんのお母さんとが、おきいちやんの家の前を通りました。二人は吃驚《びつくり》しました。家には戸が締つてゐて、もう幾日も人の住んだやうな気配が見えませんでした。どうしたのかと思つて近所の人達に訊いて見ますと、おきいちやんの家は今から一月も前、湖の向ふの村へ越して行つたと云ふことでした。
なほ、近所の人達の話によりますと、おきいちやんは、春からずつと病《わづら》つてゐましたが、近頃になつて、どうにか治つたかと思ふと、こんどは伯母さんが病《わづら》ふやうになりました。
伯父さんは歳を老《と》つてゐるし、もともと貧乏な家ですから、どうすることも出来なくなつて、病みあがりのおきいちやんは、湖の向ふの村の機場《はたば》へ機織工女に売られることになつたのです。それと同時に伯父さん伯母さん達は、他《よそ》の村へ越して行つたと云ふことでした。
おたあちやんのお母さんは『何んと云ふ
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