虹の橋
野口雨情
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)理由《わけ》が
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)三又|土筆《つくし》だわ
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから2字下げ]
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(一)
ある山国に、美しい湖がありました。
この湖には、昔から、いろいろな不思議なことがありました。青々と澄んだ水が急に濁つたり、風もないのに浪が立つたり、空が曇つて星のない晩でも、湖の中にはお星様が映つて見えることなぞもありました。それには何か深い理由《わけ》があるだらうと、村の人達は思つてゐましたが、湖の中におゐでになる水神様のほかには、誰も知りませんでした。
いろいろ不思議なことがある中でも、わけても不思議なのは、この湖の上にかかる虹の橋でした。それは、ほかでは見られない綺麗な大きな虹でした。虹が出るたびに村の人達は、いつも湖の岸へ出て、その美しさに見とれて居るのでした。
この湖に向ひ合つて、二つの村がありました。村の人達は、たいてい漁をしたり機《はた》を織つたりして、その日その日を平和に暮し
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