いてゐる

風呂場で 風呂炊く
風呂の火が
煙くて 煙くて
鳴いてゐる

ころころ ころころ
※[#「虫+車」、第3水準1−91−55、22−下−1] が
ころころ ころころ
鳴いてゐる

甕からこぼれた
甘酒を
飲ませておくれと
鳴いてゐる。


 酸漿提灯

おら家《いへ》の 提灯
酸漿《ほほづき》提灯
畑さ 提灯 ぶらさげた

となりの 提灯
酸漿提灯
畑さ 提灯 ぷらさげた

畑の 提灯
酸漿提灯
夜昼 提灯 ぶらさげた


 お山の烏

カツコカツコ帰れ
お山の烏

明日《あした》は 雨だ
カツコカツコ帰れ

鳩ポツポ啼いた
ポツポポツポ啼いた

お山の烏
カツコカツコ帰れ。


 青い青い海

山から
タツチクだ
海から
タツチクだ
タツチク タツチク タツチクだ

父《とと》さん恋し
母《かか》さん恋し

海鵯《うみひよどり》も
タツチク タツチク タツチクだ
青い青い海を
見てたが
いいか。


 迷子

赤い帯しめた
赤い下駄《かつこ》はいた

どなたと行つた
一人で行つた

どこまで行つた
どなたも知らぬ

八幡《はちまん》様の
狐に聞いた。


 鶏さん

雛《ひ
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