さいから
ねむたかろナ
象の鼻 長いから
日が暮れるナ。


 四丁目の犬

一丁目の子供
駈け駈け 帰れ

二丁目の子供
泣き泣き 逃げた

四丁目の犬は
足長犬だ

三丁目の角に
こつち向いてゐたぞ


 柿

五兵衛さん娘が
柿 持つてた
おいらに見せ見せ
柿 持つてた

隣の ぼんちも
柿 持つてた
おいらに見せ見せ
柿 持つてた

柿 買つて食べたい
銭《ぜんぜ》 おくれ
向ふの小母《をば》さん
銭 おくれ

おいらが母《かか》さん なぜ死んだ
おいらにだまつて なぜ死んだ
草端《くさば》の蔭から
柿 おくれ。


 糸切

糸切虫に
どの糸切らせう

ほぐれた糸を
よりより切らせう

糸切虫は
赤い糸切つた

小さな口で
ぽきんと切つた。


 人橋

隣の家は
昨日も るすだ

厩《うまや》の 背戸に
蚯蚓《みみず》が鳴いつた

人橋かけろ
どんど橋
かけろ

姉上さまは
馬に乗つて
行つた。


 ※[#「虫+車」、第3水準1−91−55、22−上−3]

ころころ ころころ
※[#「虫+車」、第3水準1−91−55、22−上−5]《こほろぎ》が
ころころ ころころ

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