し
河原の石は
数限りない
チヨン チヨン
チヨン チヨン
[#ここで字下げ終わり]
と、童謡を唄ひながら、石を運んでは積み、運んでは積み、一生懸命に石を積んでゐました。三五郎は子供達のそばへ行つて。
『モシモシここはなんといふ国だか教へておくれ』
とたづねますと、子供達は口々に、
『小父《をぢ》さん、ここは三途《さんづ》の河原よ』
と云ひました。
三途の河原と聞いて三五郎はびつくりしてしまひました。
『己《おれ》は、たうとう死んでしまつた、なんといふ情ないことになつただらう。道理で今までの世の中とはまるつきり違つてゐる、どうしたらいいだらう』
と悲しくなつて考へてゐますと、子供達は、
『小父さん赤鬼が来るよ。目つかつてごらん、ひどい目に逢ふから。早くどつかへ隠れておいで』
と親切に云つてくれました。三五郎は隠れようとしても、広い河原のことで、隠れ場所がありませんでした。
うろうろしてゐるうちに、もう赤鬼は大《おほき》な鉄の棒をついて向ふからやつて来ました。赤鬼は、それはそれは大きな声で、
『コラコラ逃げても駄目だぞツ』
と怒鳴りながら駈けて来て、ギユツと、襟頸《えりくび》を
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