捉《つか》んで、
『お前は、泣いてゐた子供をいたはらずに、馬へ乗つて逃《にげ》ようとしたな』
と力一杯にグーウンと三五郎を抛り投げました。
三五郎は毬《まり》でも投げるやうに投げられてしまひました。
ややしばらくすると、ドシーンと地べたへ落ちましたが、そのまま気絶をしてしまひました。
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三途《さんづ》の川は
地獄の一丁目
赤鬼さんに
投げられました
三五郎さんは
三途の川の
赤鬼さんに
投げられました
このこと話そ
このこと聞かそ
三五郎さんは
投げられました
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と、どつかで童謡を唄つてゐる声が微《かすか》に耳にはいつて来ました。はつと目をあいて見ますとあたりはもう真暗で、遠くの方には、チラチラ灯も見えてゐました。
『ここは地獄のどこか知ら』
と無性に悲しくなつて来ました。すると、こんどは、
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大馬鹿 小馬鹿
大馬鹿三五郎
お馬の上で
何の夢見てる
トツチン トツチン
トツチンチン
大馬鹿 小馬鹿
大馬鹿三五郎
トツチン トツチン
トツチンチン
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と、狐の声で童謡を唄ひな
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