し牛込の
今はカフエーの杜若《かきつばた》
恋の懸橋この上は
渡しておくれよたのむぞへ
[#1字下げ]西瓜畑[#「西瓜畑」は中見出し]
西瓜畑さ
お月さま出てる
そろりそろりと
お月さま出てる
土をたたいたら
どしんこと響いた
姉も 妹も
おさらば さらば
[#1字下げ]五月雨[#「五月雨」は中見出し]
五月雨の降る夜に君は
川下《かはしも》の
浅瀬を越えて逢ひに来《き》ぬ
夜の明け頃に帰りゆく
君を幾夜も
川下の
浅瀬の中に見送りし
五月雨の降る夜となれば
なつかしく
その頃の君の姿がしのばれて来る
[#1字下げ]夕の月[#「夕の月」は中見出し]
お仲姉さま
畑の中で
しやなりしやなりと
麦踏みしてる
雁は帰るし
夕《ゆふべ》の月は
擽林《くぬぎばやし》の
上から出てる
つまらないよと
涙で言うた
お仲姉さま
丸顔だつけ
[#1字下げ]葛飾の夏[#「葛飾の夏」は中見出し]
卯の花が散る
時鳥が啼く
沼の中に
菖蒲《あやめ》の花も咲いてゐる
沼の中の
菖蒲の花よ
葛飾《かつしか》に
今|二月《ふたつき》もゐたかつた
家も屋敷もない おれは
去
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