風」は中見出し]

鵜戸《うど》も 青島も
南の風よ
思ひ出すぞへ
片割月が
誰に焦れてか
昼から出てる

誰に焦れたか
わしや知らないが
風は南風
青島沖の
離れ磯にでも
焦れただろか


[#1字下げ]おけらの唄[#「おけらの唄」は中見出し]

おけらの唄の
さびしさに
窓にもたれて
すすり泣く

まぼろし草も
コスモスも
花は昔の
ままで咲く

おけらの唄の
さびしさに
畳の上に
伏して泣く


[#1字下げ]星の数[#「星の数」は中見出し]

星の数ほどたたなけりや
可愛人には逢はれない

わたしはかなしくなつて来て
泣かずに泣かずにゐられない

星の数ほどたつたなら
わたしを忘れてしまふだろ


[#1字下げ]十五の春[#「十五の春」は中見出し]

十五の春は
昨日の夢

もう十六の
春が来た

十六の 春も
昨日の夢とすぎ

また十七の
春が来る


[#1字下げ]蘆枯れ唄[#「蘆枯れ唄」は中見出し]

蘆が枯れたら
どこで逢ひませう

前の河原は
石まで枯れるし

蘆が枯れたら
どこで逢ひませう

裏の畑は
土まで枯れるし

蘆が枯れたら
どこで逢ひませう

蘆の枯れ葉の
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